こんにちは!
恵比寿ワインマート、ばら色ワインペアリング部の西岡です。
「バスク地方」と聞いて、すぐに地図が思い浮かぶ方は、かなりの旅好きか、ワイン通かもしれませんね。
スペインとフランスの国境あたりに広がる、四国くらいの大きさの、小さなエリア。
そこには、独自の歴史や言葉、世界に誇る美食文化が息づいています。
そのバスクで、昔から親しまれてきた白ワインが「チャコリ」。
可愛らしい響きですが、これがまた、夏にぴったりの本格派!
爽やかな酸味と、潮風のようなミネラル感が魅力で、 海の幸が豊富な土地柄だからでしょうか──和食にも、実によく合うんです。
今回は、そんなチャコリと、日本の夏を代表する川魚を合わせてみました。
ちょっと意外、でも心地いい。そんな組み合わせを、ぜひお楽しみください。
今回ご紹介するワイン
バスク地方の海沿いの町、ゲタリアで造られるチャコリ。急峻な斜面で育つブドウは潮風を浴びて、ミネラルをたっぷり含んでいます。
テイスティング
チャコリは「エスカンシア」といって、高い位置から泡立てるようにグラスに注ぐのが定番。このワインはコルクがエスカンシア用の構造になっていますので、ラベル裏のインストラクションを参考に、是非やってみてくださいね!
早速、高い位置から、液体を落とすようにグラスに注ぐと、色は透明に近い、淡いレモンイエロー。
グラスのエッジには弾ける泡。涼やかな印象の微発泡です。
香りはカットしたての青リンゴや、ライム、グレープフルーツなどのフルーツを主体として、爽やかなハーブや、砕いた貝殻のようなミネラルのニュアンスが漂います。
口に含むと、キリッと引き締まった酸味に続いて、フレッシュで生き生きとした果実味が広がります。
アルコールは控えめで軽やか、シュワっとした泡にのって、柑橘系のフレーヴァーが鼻に抜けていくような、爽快感があります。
余韻には、塩味を伴うミネラル感と、軽い苦味が残り、爽やかながら複雑味のあるアフターです。
合わせる料理
「鮎の塩焼き」

レシピ
鮎の下処理
鮎に軽く塩を振り、水洗いしてぬめりを取ります
鮎を焼く
鮎全体に塩をまぶし、尾とヒレには厚めに化粧塩をします
グリルで香ばしくなるまで、じんわりと焼きます
盛り付ける
皿に鮎を並べ、お好みできゅうりの浅漬けやスダチを添えて完成

ペアリングのポイント
鮎は「香魚」とも呼ばれ、きゅうりやスイカを思わせるような、青々しく清涼感のある香りを持っています。
この香りが、チャコリの持つハーバルなグリーンノートと心地よく重なり合い、どこか懐かしく、夏の風物詩を味わっているかのようなマリアージュが生まれます。
舌に感じる微発泡は、鮎のシルキーでふわっとした白身のテクスチャとやさしく響き合い、塩味を帯びたワインのミネラル感が、皮目の香ばしさを引き立ててくれます。
飲み終えた後に残るのは、チャコリと鮎に共通する“ほろ苦さ”の余韻。
このほんのひと癖によって、清涼感だけでなく、じんわりとした深みも感じられる、奥行きのあるペアリングになります。
鮎は下処理もそれほど難しくなく、ご家庭でもお試しいただきやすいペアリングです。
冷えたチャコリとともに、皆さんの食卓にも、涼やかな風が届きますように!
もうひとつのペアリング──今晩のBGMは?
Ander García
バスクにルーツを持つコントラバス奏者。ジャジーなムードに溶け合うような、どこか切なさのあるバスクの空気感をお楽しみください。