今週は買い付け出張1日目、4月12日午後のシャブリ訪問からのご報告。
午前中にイランシーの蔵を2件回り、午後は一路シャブリへ。車での移動中、眼前に広がる畑の色合いが、泥灰土主体の茶色から徐々にキンメリッジ土壌らしい白色になっていく光景がとても印象的でした。
蔵への訪問前に、村の郵便局前にあるビストロで昼食。今出張初の昼食は、主にトロア、リヨン、トゥール、オルレアン地方で食べられている(今ではポピュラーなフランス料理のひとつで、パリなど全土で提供されています!)アンドゥイエットにしました。
アンドゥイエットは簡単に言うと、豚や牛の腸に豚肉やモツ、たまねぎやハーブを混ぜ込んで詰めたソーセージで、一般的なソーセージと大きく異なる特徴は、中身にも豚の腸や胃がなどのホルモンが使われているという点。
中に含まれるハーブ以外は塩と胡椒のみのシンプルな味付けであり、実は赤ワインかと思いきや白ワインと相性が良いんです。
特に暖かい年の果実味豊かなシャブリとは好相性な組み合わせで、ここでも20年の村名シャブリと合わせてみましたが、豊かな果実味が肉、特に内臓系の臭みを抑え、肉本来の持つミネラル感とシャブリ特有のミネラル感が調和するボン・マリアージュでした!
午後1件目となる蔵はシャブリのドメーヌ・グロッセ。シャブリのフレイ村で有機栽培を行い、健全な葡萄からテロワールをしっかり反映させたこの地域らしい味わいが好評の蔵元です。
蔵の名前にも入っているコリーヌさんとジャン・ピエールさんのご両親はほぼ引退しているとのことで、現在中心となって蔵を切り盛りする娘のイヴさんが対応してくれました。
シャブリ地方も21年は非常に難しい年とのことで、この蔵でも約6割を霜害でやられてしまったそうです。蔵でテイスティングをさせてもらっているうちに悪天候も徐々に晴れ間が見え始めてきたため、畑を見せてもらいました。
モン・ド・ミリュー、ヴォ―クパンなどこの蔵が所有する右岸1級区画を中心に見せてもらいました。特にイヴさんのお気に入りでもあるヴォ―クパンは、ライムストーンと貝の化石がごろごろと転がっており、“これが右岸で最もエレガントな理由なんです”と説明してくれました。
初のシャブリで、実際に自分の目で畑に転がる貝殻の化石を見かけると、なんだか得も言えぬ感動がありました。
また、長らく有機栽培を行っているため、他の生産者の畑と比べても土がふかふかだったのが印象的でした。
シャブリを後にし、この日最後の訪問地、サン・ブリへ。本当はイランシーの後か、サン・ブリをスタートにした方が効率が良かったのですが、アポイントの都合上今回はこのルートになりました。ここが出張の難しいところでもありますね。
天候も回復してきたところで、この日最後の訪問地サン・ブリへ到着。サン・ブリは2003年と比較的最近AOC認定されたアペラシオンであり、またブルゴーニュ地方で唯一ソーヴィニヨン・ブランを使用してAOCを名乗ることの出来る稀有な産地でもあります。
今回訪問させてもらったのはこの地域を代表する老舗のドメーヌで、何世紀にもわたって使用されるこちらのセラーはツアーも行われているそうです。
非常に知的な当主で、そもそも何故ブルゴーニュでこの地域だけソーヴィニヨン・ブランを盛んに植えているのか教えて頂きました。
諸説あり、様々な理由があるそうですが、一番はやはり土地の特徴。サン・ブリは北向き斜面が多く、ブルゴーニュ北部で標高も150~275mと高く、また土壌もシャブリに近い石灰質土壌のため、豊かなミネラル感が表現でき、晩熟で寒さにも強いソーヴィニヨン・ブランが最適とされたようです。
この蔵でも北向き斜面・丘の上部にはソーヴィニヨン・ブラン、その他のある程度日照条件の良い所にはピノ・ノワールとシャルドネを植えていました。ピノやシャルドネはこの地域ではコトー・オーセロワとなります。
また、サンセールなどロワール地方のソーヴィニヨン・ブランと異なるサン・ブリの特徴は、(現在では全ての蔵がそうではないそうですが、)、基本的にマロラクティック発酵を行うところだそうです。そのためサンセールよりも酸が柔らかく、まろやかな味わいがサン・ブリの特徴的だそうです。
最後に蔵に戻り、セラーで眠っていた2009年を含め色々と頂きましたが、どれも豊かなミネラル感のある上品な味わいでした。
これでこの日の訪問は全て終了。本日の宿泊先であるシャブリに戻り、時間がある限り特級の畑をみて回りました。
夜はシャブリで日本人シェフが腕を振るう1つ星レストランへ。
この地域の食材をふんだんに使用したお皿はどれも美味しく、平日にも関わらず満席で非常に繁盛していました!
1日が終了し、なかなか収穫のある初日でした。次回からはコート・ドールへ向かいます。
それでは、A Bientot!